マンドリンピックの挟む力はどれくらい?ピックがズレた時の対処法

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マンドリン演奏において、多くの人の悩みの一つに、演奏中にピックがズレる、ということがあります。

とても張力の強い2本の弦を同時に、この小さいピックを指先に挟んで弾くのですから、かなりの力が必要なのではないか、と思われるかもしれません。

しかしながら、上手な人の演奏を見ると、いとも簡単そうに優雅に弾いているように感じられます。

理論上で説明するならば、親指と人差し指の力バランスが良く取れて、弦に対してピックが垂直に当たっていれば、ズレません。

 

 

頭では分かってるのに、難しい……。悩んじゃいますよね。

先ずは、「ピックがズレるので、もっとしっかり握らなくては…」と力を入れてしまうのはNG✖です。ピックを挟む力はそんなに必要ないのです。

では、実際どれくらいの力で持ったらよいの?

ここでは、ピックの持ち方、その力加減、演奏中にズレた時の対処法を説明いたします。

マンドリン ピックの持ち方

ピックの持ち方については、幾通りかありますね。

地域や指導者によっても違うようです。また、取り組んでいる曲のスタイル(独奏、合奏)によっても変化していきますね。

活躍されているプロの方や、YouTubeで配信されている奏者を見ましても、実に様々です。

私自身は、摘(つま)み型の持ち方はしたことがありませんので、そちらに関しては、それを知っている人に確認してみてください。

ここでは、私の弾いている持ち方をご紹介いたします。

私は、このように持ったり(手がガサガサのシミだらけでゴメンナサイ…)

   

このように持ったり

   

しています。親指は、関節を曲げないように、伸ばします。

違いが分かりにくいかもしれませんが、演奏する時に圧がかかる場所が違います。

人差し指に印■を付けた、赤い部分の関節に近い所だったり、青い部分の腹側に近い所だったり、その時によって変わるということです。

他には、このように

 

人差し指側が縦方向に持っている人もいます。

ただし、下の写真のように、親指側からはきちんと持っているように見えても、人差し指側を確認すると、触れている面積が小さすぎている場合があります。

ダウンとアップのバランスが悪くなり、不安定になってしまいますので、注意してみてください。

 

結局、どう持つの?と迷いますよね。

人の手は、大きさ、指の太さ、長さ、また、腕の長さも、一人一人違います。

演奏の基本は、弦に垂直に当てること。

ですので、どう持つか?というよりは、自分の体(手)と相談をして、親指を伸ばした状態で、弦に垂直に当たる持ち方、が良いですね。

そして、良い音が出る持ち方です。

考え方としては、「ピックをこう持つと良い音が出る(らしい、はずだ)」ではなく、「良い音が出るから、(自分は)こう持つ」、というのを見つけられると良いですね。

いろいろ試してみて、出ている音で判断できると良いですよ。

これは、肩から肘、腕、手首、指先の使い方による奏法とセットになっているとも言えます。

講師や指導者、プロの方々は、そのようにして「良い音」を追及することで、それぞれの良い持ち方を見つけているのです。

その結果、それぞれの違いがある、ということですね。

私は、自分が行きつくまでに複数の先生のレッスンを受けましたが、指導者全員の持ち方が違っていました。

マンドリン ピックに滑り止めは本当に必要?

今はピック自体にもいろいろと工夫されていて、様々な材質のものがあります。表面が凸凹したデザイン印字がついていて、滑り止めの役割にもなっています。

しかし、わざわざ市販の滑り止めテープを使うのはオススメできません。それ有りき、で練習を重ねると、それが無くては演奏できない、ということになりかねません。(楽器本体の滑り止めも同じです)

例えるなら、「補助輪をつけた自転車乗り」と言えばイメージできるでしょうか?

お子さんが自転車に乗り始める時、最初は補助輪を付けるかもしれませんが、小学校に入る頃には、外して練習しますよね?恐らく、お子さん本人よりも親の方が、転んだら心配と思い、付けてあげるのではないでしょうか?

しかし、補助輪を付けて乗れていたからといって、外した時に同じように自転車が漕げるか?と言ったらそうではありません。

漕ぎ始めるのにどれくらいの力が必要なのか?どのようにしたらバランスを取って安定して乗れるのか?を自分の体で覚えていくわけです。

そして、最初はぎっちりと握りしめていたハンドルも、踏ん張っていた足元も、慣れてくればいつの間にか、無意識でスイスイ~と何処にでも行けるようになります。

やはりお分かりのように、自転車乗りは補助輪を付けていない方が自由になります。いろいろな操作が可能になり、小回りが利くようになります。

ですので、お話をマンドリンに戻しますと、バランスの取れた正しい持ち方、そしてそれを保持する弾き方、を習得すれば、そのようなグッズに頼らなくても安定した演奏は可能です。

滑り止めテープで固定されてしまうことで、遊びがなくなり、ピックの微妙なコントロールが不可能になってしまうのです。また、本来はとても敏感な指先の感触をキャッチ出来なくなります。

ピックはとても小さいものですが、皮膚の触れ加減の僅かな違いで、様々な音質、音量の差を引き出し、豊かな表現に繋がるのです。

以前、私の生徒さんで両面テープをピックに貼っていた人がいました。ペタペタ指にくっつけながら弾いてましたが、気持ちは分かりますが、返って演奏がスムーズにいきませんね。これは止めましょう(笑)

マンドリン ピックの親指と人差し指で挟む力加減のバランスとは?

それでは、演奏する上で、具体的にどのくらいの力が必要なのかを、説明いたします。

脱力ができている場合

脱力ができている人は、既にお分かりと思いますが、挟む力は殆ど要りません。そうは言っても、保持して弦を弾く力はやはり必要です。

先程の自転車漕ぎでまた例えるなら、無意識で足の力は抜けていても、ペダルを踏むための力は必要ということと同じです。

マンドリンに関しては、張力の強い弦であってもスピード感を持ったタッチであれば、より少しの力で済みます。

それは、力学でいうところの「パワー」と「力」の関係になりますが、「パワー=力の大きさ×速度」だからです。

スピードは、パワーを生み出すということが言えます。

そうすると、弦に触れる時間も短くなり、摩擦も減るので、その結果、音も綺麗になります。

このタッチの素速さは、テンポの速度のことではありません。テンポが遅い場合でも、加速度をつけて弦に当てて、その後の響き(余韻)を長くするのです。

大概の人は、テンポが遅いとタッチも遅くなります。そして、音も鈍くなり雑音も増えてしまいます。

脱力ができていない場合

脱力ができていない人は、2タイプの方がいます。

①ピックの遊びすぎでグラグラするので、しっかり持たなきゃいけない、と思って、握りしめてしまう人。

②常に力みっぱなしで、力任せに弦の抵抗に向かっていくような、押し付けた当て方になり、更に握りしめてしまう人。

いずれにしても、握りしめてしまいますよね。

初心者などの最初の取り組みでは、多少、遊びが多くなってもかまいません。

とにかく、弦に対してピックを垂直に当てるように注意してみてください。

この時の挟む力の目安としては、親指と人差し指をギュッと押し合わせて、すぐに離した時に、うっ血した皮膚の色が白からピンクに変わる瞬間の力加減です。

強くもなく弱くもなく、です。押し込むのでもなく、ただ触れてるだけでもない、その間です。

上手く伝わってるでしょうか・・・?

早く先輩たちのように細かく動かしたいと思って、無理やりガリガリ弾いてしまうと、先に力みが入ってしまいます。そうすると、余計に癖がつきやすくなり、脱力もしにくくなります。

ダウンだけではなくアップの時も、同じように垂直に戻すようにやってみてください。

それを維持できれば、しばらくすると、ピックのぐらつきがなくなってきます。真っ直ぐ、真っ直ぐを心掛けてやってみてください。

再度、自転車乗りに例えますと、左右にぐらつきながらも、なんとかして、前に進もうとバランスを取りますよね。それが崩れるとよろけてしまいます。

そういうわけで、ピックの挟み方がどちらかに偏っていると、ズレていきます。決してズレたまま弾き続けないことが大切です。

ズレたと思ったら、弾いている時間が例え短くなっても、ピックを真っ直ぐに持ち直して、再度、取り組む、を繰り返してください。少しずつ保持できる時間が長くなっていけると良いですね。

「な~んだ、そんなの基本じゃないか!」と思う人がいるかもしれませんが、その基本が大切です。

そう言いながら、きちんと垂直に弦に当てられていない場合が多いですので、自分でよく見直してみてくださいね。

それでも演奏中ズレちゃったら、どうしたらいいの?

ウオーミングアップや自己練習では気をつけていても、合奏で通している時や本番で、どうしてもピックがズレてしまうことがあります。

そのような時、多くの人は、更に大きくズレしまわないないように、あるいは、何とか弾き切りたい、と思い、力みを入れてピックを握りしめてしまいがちです。

しかし、力んでしまった演奏はあまり良い音が出せず、とりあえずやり過ごした、という内容に終わってしまいます。かつての私がそうでした(泣)

そのような時は、むしろ、肩からの力を緩めてみてください。そして、ピックが傾いているのと逆方向に、指の中でピックへの圧を変えてみます。

ピッキングの場合は、次の一音、次の一音、という風に、少しずつでも修正していけたら、演奏を止めずに進めることができます。

トレモロの場合は、連続で弾き続けながらの修正になりますが、やり方はピッキング時と同じです。弾きながら、ピックへの圧をかける場所を変えてみます。親指の先の方だったり、関節寄りだったり、試して工夫してみてください。

多少、不本意にも演奏が凸凹してしまう箇所ができてしまいますが、止まらずに済みます。

力が入りすぎてもう弾けない、と思ったら、仕方がありませんので、一旦、ピックを持ち直しましょう。

私自身も今でも、演奏中にピックがズレてしまうことはあります。なるべく演奏で支障をきたさないように、フレーズの途中では修正せず、フレーズとフレーズの間で修正しています。現在では、弾きながらの修正をしない演奏が可能になってきました。

 

 

このように、ピックの先が右側にズレてしまった場合は、中指の爪の横を人差し指に添えて人差し指を伸ばし、手首を硬直させながら、指先の力を抜きます。

そして、中指の指先の支えを頼りに、ピックが垂直に当たっていることを確認し、通常の持ち方に修正します。

あるいは、手首を伸ばす、というやり方もあります。

このように、ピックの先が左側にズレてしまった場合は、ジャンケンのグーに近い形で、人差し指をいつもより内側に、そして、親指の関節で山を作るように曲げて、ピックが垂直に当たっていることを確認し、通常の持ち方に修正します。

あるいは、手首を曲げる、というやり方もあります。

まとめ

基本は、とにかく、弦に対してピックを垂直に当てることです。

そして、ダウンで弾いた軌跡のまま、アップで戻ることです。それをなるべくキープ出来るように、手元の確認をしてみてください。

力みを無くしてピックがズレなくなれば、様々なピックコントロールが可能になります。そうしたら、さらに演奏が楽しくなりますよ。

あなたを応援しています。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

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