マンドリン右手の脱力のための6つのイメージ奏法

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あらゆる分野の様々なパフォーマンスにおいて、「脱力」の重要性が再認識されています。やはり、マンドリンにおいても、より表現力豊かな演奏を目指すためにも重要なことです。

しかしながら、具体的にどのようにしたら無駄な力みを無くして、脱力が身につくのか?と悩んでいる人は多いようです。どうしても力任せになってしまったり、肩凝りがひどくなったり、腕がすぐに疲れてしまったりします。

そして、頑張って弾いてるのに、なかなか上手くいかなかったり、いい音が出せなかったりします。あるいは、本番で緊張してしまって、普段は出来ているはずなのに、手が硬直して思うように動かない、ということもありますね。

スポーツなどでは、体幹を鍛えて末端から脱力する、ということがよく説明されています。ですが、マンドリンの演奏は、指先(末端)でピックを挟んで、かなり張力の強い弦を弾くわけですから、尚更のこと、脱力は難しくなります。

でも、大丈夫です!そのためのトレーニングをすれば、脱力を身につけることが出来ます。そして、演奏自体がとても楽になります。その方法をご紹介いたしますので、是非、練習メニューに取り入れてみてください。

はじめに

先ずは、このイメージ奏法に取り組む際の注意点を確認してください。それは、以下の通りです。

マンドリン右手の脱力トレーニングをする上での3つの約束

①ピックは強く握りしめないこと

②弦に対して、ピックは垂直に当てること

③各弦、対の2本を弾くこと

マンドリン右手の脱力トレーニングの進め方 3つのステップ

①初めは、開放弦  ダウンでコツを掴めるまで、繰り返しやってみてください。

②ダウンのコツが掴めたら、同じように(ダウンと逆方向ですが)アップでやってみてください。

③開放弦で感触が感じられてきたら、スケール練習などを用いて、左手を使った押弦でもやってみてください。

開放弦と押弦時では、テンション(張力)が変わりますので、開放弦の時と同じように、一音ずつイメージを持って、手元の感触を確認しながら進めていってください。

それぞれの奏法によってアプローチは違っても、目指すものは「脱力」です。

割としっかり音が出せているけれど力んでしまう、という人は「ムチ奏法」から、ピックの握りが安定せず上手く弦に乗せられない、という人は「波に揺られる浮き奏法」から導入すると良いです。

そして、これが出来たらOKではなく、一つコツを掴めることが出来たら、自分に無理のない形で、強弱をつけてみたり、速さを変えたりして応用させていきます。

ある段階まで力が抜けていたのに、次の段階で手の感触、振り方が変わってしまう場合は、そこで強引に進めず、再度、ピックを持ち直してやり直しをします。

必ずできる!と自分を信じよう!そして、今日の自分を褒めてあげよう!

なかなか、直ぐには効果が出ないかもしれません。一つ目、そしてその次、と進みながら、時間はかかります。地道なトレーニングとなります。時に「何やってんだろう…」と落ち込むこともあるかもしれません。

でも、悩んでるあなたの向上心は素晴らしいものなのです。もっと楽に上手く弾けるようになりたい!と思う気持ちを応援します。どうぞ、焦らずゆっくり、一音ずつやっていきましょう。

お断り

ここで紹介している奏法名は、あくまでもイメージで私が考案したものであって、通称名ではありません。この記事を読んでいない方には通じないと思われますので、ご了承ください。

 

それでは、具体的に、トレーニングの説明をいたします。

マンドリン右手の脱力:ムチ奏法

ピックは指で挟んで持つごく小さなものですが、持っているピックが「ムチ」だと想像して、ピックの先(腕の先)にもっと長い革紐が付いている、とイメージしてみてください。そして、腕のしなりを使って、加速度をつけて、勢いよく振り下ろします。

しなりを使いますので、ピックを持つ指先から弦に当てようとしてはいけません。スピード感も持って、弦を貫通するのは一瞬です。

この時の加速度はとても重要で、出来る限り素早く、鋭く振り下ろすのがポイントです。そうすると、弦にピックが触れる時間がより短くなり、摩擦が少なくなります。

その結果、雑音の少ない奇麗な音が出ます。そして、弦に当たった瞬間直後に無意識で脱力が出来ています。

これは、球技のスポーツでいうところの「スウィートスポット」というものになります。野球のバットやテニスのラケットを振ったときに、丁度タイミング良くボールを捉えた時の、それに当たります。

このような動きをイメージしてみても分かりますが、決して、バットやラケットの先から振ってはいません。腕の後からついてきます。

ですので、形は小さいですが、マンドリンのピックを弦に振り下ろす時も、ピックで押し付けるようにはしません。

ただ闇雲にやっても効果はでません。一振りごとに、先ず、ムチを振り下ろすイメージを持って、ためらわずに狙って一瞬で弾き切ります。

この場合は弾こうとする弦の、下の弦に当てて止めます。必ず2本(1対)の弦を貫通させてください。1E番線の場合は、その下に、さらに弦があるつもりで、他の弦と同じように振り下ろしてください。決して外側にひねったりしないように注意してください。

マンドリン右手の脱力:トンカチ奏法

金づちで釘を打つイメージです。ムチ奏法は下の弦で一旦止めますが、この場合は、自然な跳ね返りを感じてみます。アタックをつけながら連続して弾いてみます。

この時、最初は長く太い釘を打ち込むイメージからやってみてください。慣れたら、太い細い、長い短い、を組み合わて、いろんな釘のイメージで、アタックの加減を変化させて試してみてください。

マンドリン右手の脱力:バネ奏法

自分の腕、あるいは手首にバネが入っているとイメージしてみてください。トンカチ奏法の釘と同様に、イメージしたバネのコイルの太さを意識して連続で弾いてみます。

トンカチ奏法との違いは、打音の時にアタックをつけません。バネが反動で伸びたり縮んだりするイメージです。自然に振れているようでしたら、ダウンとアップの連続でやってみてもよいかもしれません。

マンドリン右手の脱力:肩たたき奏法

トンカチ奏法、バネ奏法と同じではありますが、自分の手の振りの感覚を確認したい場合は、自分自身の太ももや机などを肩たたきのように振ってみます。

手の重さで自然に跳ね返ってくるのを確認します。それと同じように、実際に楽器を弾いてみます。

そして、強く大きく振ったり、弱く細かく振ったりいろいろ試すと、腕のしなりを使っている時と、手首のしなりを使っている時があるのが分かります。

肩たたきしてもらっている人が、こうやれば気持ちが良いだろうな、と想像してやってみてください。

マンドリン右手の脱力:新体操のリボン奏法

ムチ奏法では、1打音ずつのトレーニングでしたが、ムチを新体操のリボンに変えてみます。腕の先に長いリボンが付いていると想像してみてください。

そのイメージしたリボンを絡ませないように上下運動を連続させます。しなりを使って柔らかく腕、あるいは手首を振ります。

ここで注意して欲しいのは、リボンをクルクル回すイメージではありません。波立たせる感じの上下運動です。

この時も、ピックで弾こうとはしないことが大切です。先に振るのは腕、あるいは手のひらの外側です。指先は後からついてきます。

マンドリン右手の脱力:波に揺られる浮き奏法

腕が海面に浮かんで揺れているイメージです。

リボン奏法よりもスローで、ほんの僅かな肘の上下運動のみです。動かすのが肘のみでも、腕が棒状に真っ直ぐで弾くわけではありません。

きちんとできていれば、小さなしなりがあります。波(弦)に抵抗することなく自然な揺れに任せます。

この場合は対の2本を時間差で通過してもOKです。振りが小さいことで逆に硬直させないように注意します。

 

まとめ

「力を抜いてください」「力まないでください」と言われても、実際どのようにしたら力が抜けるのか、力まないで弾けるのか分からないものですよね。この方法のいずれかをやってみて、少しでも以前との違いを感じて頂けたら嬉しいです。

どれもがすぐに出来るものではありませんが、これだったら理解できそうだなと思えたものから取り組んでみてください。ある一定期間は集中して実践してみると、コツを掴むのは早いです。

繰り返しやっているうちに、「あれ?楽になったぞ!」「フワッと感じた!」などの瞬間があるはずです。その体感には必ず気づきます。自分の手元の感触で一度感じることが出来たら、その後もそれを目指して繰り返してみてください。

とにかく、イメージをより強く持って、狙って音を出していくようにすると、成功する頻度が高くなっていきます。イメージを持たずに、ただ闇雲に弾き続けたり、無機質に音を出していると効果はでません。ですので、先に、このように弾きたい、このような音を出したいとイメージを持つことが大切です。

確実に実践して頂けたら、「マンドリンって疲れるな…」と思っていたものが、「こんなに楽に弾けるものなんだ!」と分かって頂けるはずです。

そして、上手に脱力ができていることによって、音の芯が生まれます。そのことにより、さらにしっかりした音も、また軽やかな音も、自由自在に出せるようになります。

 

最後までお読みいくださり、ありがとうございました。あなたを応援しています。

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