マンドリン左手の押さえ方のコツ!より少ない力で良い音を出すための4つの方法

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マンドリンは、弦の張力がとても強いので、左手の押さえる力もかなり必要なのではないか?と思われるかもしれませんが、コツを掴めば、上手に脱力出来て楽に演奏ができるようになります。

決して、指先に力を入れて無理をして弾き続けないことが大切です。

それから、速弾きは格好良いですし、憧れますよね。

私も若い頃は、速いパッセージに指を追いつかせるのに、夢中で弾いていました。とにかく必死で、気持ちは焦りながら、実際は、右手と左手のタイミングが合わずにもたついていました。

速く(早く)弾きたいという気持ちばかりありました。

しかし、ただ闇雲に音を辿っていくような演奏では、指がバタバタするばかりでなく、無駄な力みが入ってしまいます。

そして、指は動かしているけれども、音が綺麗に響いてなかったりします。力むと音も悪くなり割れてしまいます。

すると、もっとしっかり押さえなくては、と思い、ますます力んでしまうようになります。

早く先生や先輩のように弾きたい、という気持ちになりますが、ゆっくり確実に進むのが、急がば回れで、結局は近道になります。

なぜなら、力みがついてしまったり、無理に弾いて一度癖がついてしまうと、どこかで必ず大きな壁にぶち当たってしまうからです。

上達しながら、取り組んでいる曲などによってフォームを工夫して変えていくのは良いのですが、無理して弾き続けた後に、癖直しで時間が取られてしまうのは、折角、同じ時間マンドリンを弾いているのに大変勿体ないことです。

結局、基礎が大切なのだと気づき、基本に立ち戻ってみようとした時に、それを修正するのに、余計時間がかかってしまいます。

場合によっては、一つの癖を直すのに数ヶ月~数年かかることもあります。

それでも、根気よく練習を続けるか、諦めてしまうか、開き直るか、とそれぞれの方がいらっしゃいます。

「マンドリンって、こんなに疲れるものなんだ」「力が必要なんだ」と思っている方に、そうではないということを是非、お伝えしたいです。

ここでは、ギュッと押し込まなくても、楽に押さえることができるコツを説明いたします。

マンドリン左手 ①押さえる場所について

指先で押さえる場所は、下図の例で色をつけている、フレットとフレットの間の右寄り(=各フレットのすぐ左側)を押さえると、より少ない力で済みます。

 

印をつけたフレット番号や色別に意味はありません。

どのフレットでも同じです。

ヴァイオリンと違って、マンドリンやギターは、フレットによって音程が作られていますよね。

各フレットに弦が触れることで、出したい音程の音が出せる訳です。

そのフレットからの距離があるほど、圧が必要になります。そして、音程も悪くなります。

ですので、なるべく近くを押さえれば、ギュッと押し込まなくても楽になります。

ローポジション(指板全体の左側)については、目で見て確認をして、押さえた指と左隣りのフレットまでに隙間があるくらいが良いです。

【より少ない力で済む場所】

※私は指が太いので、この写真で誤解を招くと申し訳ありませんが、フレット上ではありません。

【力が必要になる場所】

これについては、マンドラ、マンドセロの場合は、マンドリンよりフレット間が広いですので、さらに、そのピンポイントを狙って押さえることが大切になります。

それを意識するだけでも、かなり力加減が変わりますし、何より音が綺麗になります。

ハイポジション(指板全体の右側)については、押さえた時に、フレット間に指との隙間はなくなりますが、ローポジションとそのまま同じように押さえると、自分では気づきにくいのですが、指先で押さえているつもりでも、少し浮いた状態になり、力が必要になってしまいます。

ですので、下図のように、指を縦に入れて、爪で押さえるつもりでフレットのすぐ近くを押さえると、少ない力で奇麗な音が出ます。

【ハイポジションの押さえ方】

マンドリン左手 ②押さえる指の当て方について

それから、各2本の弦を真上から均等の力で押さえることも大切です。

楽器を構えた時に、視覚的に確認できないので、これも気づきにくいのですが、上下2本のうちの上の弦だけを押さえていて、下の弦は少し浮いてしまっている場合があります。

そうすると、2本の弦の圧のかかり具合が変わってしまいます。

自分の目で見た時に、きちんと押さえているつもりでも、下の弦が押さえられていないことで音が濁り、もっと強く押さえなくてはいけないと思って力をいれてしまいます。

この場合は、指を立て過ぎているか、上の弦を中心にして押さえている可能性があります。

押さえている場所、指の角度を覗き込んでみると良いです。鏡で確認してみるのも良いですね。

また、このような押さえ方をしていると、調弦が狂いやすくなります。

なぜなら、最初の説明の通り、弦にかかる圧が均等にならないからです。

マンドリン左手 ③押さえる力加減について

最初に説明しました、フレット近くのより少ない力で済む、押さえる場所のピンポイントを見つける方法があります。

右手を使わずに、左手だけで軽く触れるタップ奏法をしてみます。この場合は、開放弦ではなく、押弦時の確認になります。

スマホをタップするように、軽く叩きます。その時に、小さい音ながらもきちんと音程が出る場所があります。前図で示したように、フレット間の真ん中や左側だと良い音は出ません。

是非、試しにやってみてください。

そして、ここで大事なのは、押弦時の左手指の力加減は、そのタップ奏法で確認した程度で大丈夫ということです。

タップで綺麗な音が出た場所と力加減が、演奏するために必要なもので、それ以上は無駄な力みである、ということが分かります。

これ、ホントです!

pだけではなく、ffを出す時でもです。

これで確認できたら、「今まで頑張って必死になっていたのは何だったの?」って驚きますよ!

マンドリン左手 ④押弦のタイミングについて

右手の脱力とのセットになりますが、押さえている指は音価分ギリギリまで離さず、余韻をなるべく長くし、次の音を出す時には、押弦する瞬間を素速く替えます。

これはテンポのことではなく、例えテンポが遅くても、押さえる動作を遅くしないようにします。

前述のタップ奏法をやってみた方はおわかりでしょう。

タップするためには、音量は小さいながらも勢いが必要です。押弦するスピード感です。

そして、そのスピードがあることで、少ない力で済むのです。

(注※実際の演奏ではタップ奏法のような勢いが常にある訳ではありません。)

ですので、前の音から次の音に切り替える瞬間を素速くすると良いです。

【動作を遅くした場合】

これでも悪くは…ないですね。

ただ、打点のタイミングがぬるいので、少し押すような弾き方になり、摩擦が生じ、音に雑音が混ざります。

少々、音に伸びやかさがかけますね。野球で例えるなら、内野安打かな。

しかし、右手のタッチと左手の押弦を素速くすると

【動作を速くした場合】

押さえる力と、弦を弾(はじ)くための力は、一瞬で済み、雑音も減ります。

左中間くらいのヒットを打てたように、余韻に伸びがありますね。

(注※ 動画での音拾いにより、雑音をを感じるかもしれませんが、ご自分で実際に試してみると分かりますので、是非、弾き比べをしてみてください。)

音出しの基礎として、音価分きちんと余韻を残して響かせることができていると、表現したいものに合わせてのテクニックとして、それをスタッカートにすることが可能になります。

さらにいうと、スタッカートの加減さえもコントロールできるようになるんです。

音を出したつもりで押さえた指をすぐに離してしまうと、無神経に音が切れてしまいます。

そして、伸びやかに弾きたいと思うと逆に力をいれてしまうのです。

これは、単音の時ばかりではなく、ソロ曲などの重音の指替え、オクターブユニゾンの移動も同様です。

そのためには、脱力と別に、指を鍛えるトレーニングも必要になりますね。

このトレーニングについては、今後の記事でご紹介したいと思います。

楽器の調整について

ここで紹介したことをやってみても、どうしても力が必要だと感じる場合、もしかしたら、楽器の不具合が生じている可能性もあります。

ネックが反ってきている、フレットが擦り減ってきている、ブリッジの高さが合わない、など、いくつかの理由が考えられます。

その場合は、楽器のメンテナンスをオススメ致します。

しっかり調整してもらって、また気持ちよく練習に取り組むことができると良いですね。

まとめ

マンドリンって、とても疲れるもの、マンドリンを弾くと肩が凝る、マンドリンって力が必要、などと感じていた方が、少しでも無理なく楽に弾けるようになっていただけたら嬉しいです。

マンドリンをこよなく愛し、上手になりたいと思っているあなたを応援しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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